ミシシッピの夢を語るは金融システムの先駆者か詐欺師か

世界三大バブルと呼ばれる歴史上の出来事があります。
オランダのチューリップバブル、イギリスの南海泡沫事件、そして今回、取り上げるフランスのミシシッピ計画です。

1716年のフランスで、スコットランド出身の実業家ジョン・ローが銀行を設立し、紙幣の発行を始めました。
現在の中央銀行であるフランス銀行です。

紙幣は、戦争や王族の浪費などで巨額の財政赤字を抱えていたフランス政府の債務引受に充てられました。
価値を保証する根拠となったのが、ローが所有するミシシッピ会社に特権を与えて北アメリカのフランス植民地の開発と貿易を行わせる「ミシシッピ計画」でした。
金鉱を探査すると喧伝されたものの、実際に何も行われてはいませんでした。
しかし、海外での実態が見えないこともあり、株価は20倍まで跳ね上がって、政府からの要請で紙幣もどんどん発行されました。

しかし1720年になると紙幣の価値に不安を感じる人が増え始め、金との交換を要求して銀行に押し寄せましたが、対応できる金はそもそもありませんでした。
ミシシッピ会社の株価も暴落して遂には倒産し、フランス経済は大混乱に陥りました。
全ての責任を押し付けられたローは、フランス国外に逃亡しました。
ミシシッピ計画破綻後もフランス政府の放漫財政は続き、60年後、フランス革命によって絶対王政に幕が下ろされました。

ローは、ただの詐欺師だったのでしょうか。
それとも、近代的な金融システムの先駆者だったのでしょうか。
世界の法定通貨が、価値を金で保証する「兌換紙幣」から、信用で裏付ける「不換紙幣」に完全に移行したのは、ローの紙幣発行から262年後の1978年です。

仮想通貨も、利用者の通貨への信用によってのみ価値が保証されています。

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