TOKEN SKY 1日目 

世界最大級の仮想通貨・ブロックチェーン関連のイベントである、TOKEN SKY2018 TOKYOの初日に参加してきた。今週はブロックチェーンウィーク、こういったイベントが目白押し。今回は、ブロックチェーン分野で気になっていた会社や、国内外の著名な教授や、弁護士の先生の講演も楽しみにしていたが、当分野で研鑽をしているベンチャー企業の方々が、世界と日本と日本市場についてどういう見方をしているのかを聞きたくて、ワクワクしながら、会場に向かった。



講演前に時間があったので、展示ブースを見て回ると、8割が海外のプロジェクト。さらに、ブースで話をすると半分位の外国人が片言ながら日本語を話していたのには驚いた。本当にいろいろな会社があり、こことなら仕事をしてみたいなという真摯な印象の会社もあれば、適当だなぁ〜と感じさせられるブースもあり、業界の現状を良く感じることが出来た。やはり、こういったイベントには、足を運ばないといけないなと思った。

外人コスプレイヤーの女性やVRのバイクを展示しているブースを横目に、会場入り、講演スケジュールを確認。自分は、英語はわかるので、通訳デバイスをもらわなかったのだが、結構多くの講演が中国語で行われることがわかり、慌てて入り口に取りに戻ることになった。時代だなぁ、子供には中国語習わせないとなぁ、などと思いながら席に戻った。

主催会社のASOBIMOの近藤氏のキーノートスピーチで強調されていたのは、ブロックチェーン分野における日本のプレゼンスの低さだ。「ブロックチェーン先進国かどうかを測る指標として特許の数をみてみると、去年400件成立した特許のうち、5割が中国でのもの。海外のブロックチェーン関連イベントに行っても日本人はほぼいない、という状況。『海外に出て行かないと!』と言ってみても、なかなか皆行かないので、今回頑張って、このTOKEN SKYのイベントを日本に持ってきた」。極めて的を射たコメントと思った。

その後著名な大学教授のお話。著書はいくつか以前読んでいたのだが、良い印象はなかった。でも講演を聴いたら印象が変わるかな、と期待を持って話を聴いたものの、期待は裏切られる。逆に、第一印象はぱっとしない若い登壇者が、とても面白い話をしたりする。ビッグネームで人を集め、実のある話を持っている人につなげる、という戦略なのかもしれない。

 

別会場では、サイバードの堀ロバートさんのお話も今日興味深かった。「KIZUNAプロジェクトは、アスリートの99%を占める「食べるのに困っているアスリート」とそのサポーターをつなげ、今までFacebookGoogleに支払っていたフィーをアスリートに還元するプロジェクト。KIZUNAプロジェクトがブロックチェーン技術を使うのは、事業との親和性があるから。世の中にはブロックチェーンを使う必要がないのに、ブロックチェーンありきで動いているプロジェクトが多い」。AI、ブロックチェーンと言っておけばお金が集まる、という風潮に流されないよう、特に専門家は研鑽を重ねていく必要があるだろう。

午後は、「アフタービットコイン」の著者である麗澤大学の 中島先生の講演からスタート。わかりやすく含蓄もあるとてもよい講演だった。早稲田の岩村先生もそうだが、日銀出身の方は話が上手なのかな。サンプル2つですが。

その後は、4大法律事務所のひとつTMIの増島先生が、スライド無の講演。キーメッセージは、「日本の規制当局は迷走している感が否めない。そういう姿勢を変えるは自分たちの役目だが、力不足でなかなか進まなくて申し訳ない。ただ、より規制の厳しい環境にいる中国の起業家の方々は、香港で開業して、アメリカでSAFTで売る、という動きをしている。この業界は、一国の規制云々はあまり問題ではなく、出来るところでやればいい、という業界。国外でICOを展開してから、日本の取引所に上場すればいい。起業家の皆さん、国外に出て頑張ってください」。以前からネットに上がっている増島先生の資料が非常によくできているものが多かったので、今日の講演も楽しみにしていたが、期待通りのものであった。

 

気分転換に、フロアに出ていくつかのブースで話を聴く。特に印象に残ったのは、下記の2社

■ mfun

「mfunはコンテンツプロバイダとユーザーをつなぐプラットフォーム。インドネシアでは既に20万人のユーザーベースを持っている。東南アジアを中心にした展開を考えていて、次は日本市場を見据えている。中国はテンセントに市場が握られているので、参入は難しい。」シンガポール出身のとても真摯な印象を持つ会社。

■ ucef

「日本のクリエーターフィーは中国の40%程度で安い。漫画やキャラクターデザインなどを探している顧客ベースは既に数十万規模。現在日本の専門学校を中心に日本のクリエーターベースを強化していきたいと思っている。」こちらも真面目に仕事をしている印象を持った。

 

以前AI分野の大御所東大の松尾先生の講演を聴いたときの話が思い出された。「作る側になるか、使う側になるか。それが問題だ。作る側(例えばAppleGoogle)が儲けを取る。既に、ソフト(ウェア)の分野では、アメリカには絶対に勝てない。日本は、どこの分野で作る側に回るかを戦略的に考える岐路に立たされているが、おそらくそれは、IoTのものづくりの領域になるだろう」。今回国外からの参加企業が日本に来ている目的を聞くと、「使う側」の人や企業を探しに日本に来ている印象を持った。ブロックチェーンの世界でも、日本がどの分野で「作る側」に回るのか、真剣に考え、迅速に行動に移さないといけないと思わされた。

一日中講演が目白押しで、ブースも全て見切れなかったが、業界の動向を垣間見る上で、非常に有意義な一日であった。今日も興味深い講演が多くあるので、期待したい。

 

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