なぜ、メタバースの土地に価値が付くのか考えてみた

2021年の不動産の取引が可能な4つの大手メタバースの総取引額は、580億円です。
でも、なぜメタバースの土地にこれだけの価値が付くのでしょうか――?

実世界の土地の価値は、立地・資源などによる希少性と有用性に基づいています。

まず、現実で土地は無尽蔵に増えるものではありませんが、仮想空間では容量の限り世界を拡大することができるはずです。
しかし、大手メタバースでは初めにメタバース上の面積の上限が設けられています。
その上限によって、メタバース上の土地に価値が生まれています。

次に、現実と違って仮想空間には距離の制約はありませんから、理論上はどこへでも瞬時に移動することができるはずです。
これをユーザーに対して「メタバース内を歩いて移動しなければならない」といった人工的な制限を課すことで、立地によって有用性に基づく価値が生まれます。
ただし、制限されるユーザー側のメタバース体験の質を低下させることにもなります。

そして、メタバースには天然資源は存在しませんから、実世界のような価値構造を持つには、土地の所有権にコンテンツ作成の権利を結びつけるといったことをする必要があります。
これも、理論上はメタバース内のどこでも行えることを、あえてゲームデザインに制約を持たせているのです。

いずれの場合も制約を設けることで価値を生み出しているわけですが、ネットワークの価値は参加ユーザー数によるところが大きいですから、メタバース同士の競争が今後激しくなると足かせとなってしまうのではないかと私は思いますけどね。

まだ黎明である現在のメタバースの土地は、新たな技術を捉えやすくするためのスキューモーフィズム(他の物質に似せるためのデザインや装飾)と考える人もいます。
そうであるなら、ユーザーがデジタルなアイテムと実世界のアイテムの間の差異に慣れるに従ってインターフェイス設計におけるスキューモーフィズムから脱していったiPhoneのように、メタバースも同じような流れになるのかも知れません。

今後、メタバースの土地の考え方がどうなっていくのか気になります。

メタバースの土地がなぜ希少になるのか?【コラム】 | coindesk JAPAN | コインデスク・ジャパン

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